オフサイトミーティングを企画するとき、多くの会社はこう考えます。
せっかく会社を離れるんだから、普段話せないことを話そう。
せっかく集まるんだから、本音で議論しよう。
せっかく時間を取るんだから、チームの課題をちゃんと出そう。
とても良い考えです。
ただ、ここでひとつ落とし穴があります。
それは、いきなり「本音で話しましょう」と言ってしまうことです。
これ、意外と危険です。
なぜなら、本音は号令で出るものではないからです。
「今日は本音で話してください」
そう言われた瞬間、参加者はだいたい本音を隠します。
「本音で話そう」と言われるほど、人は黙る
会議でこんな場面、ありませんか。
司会者が言います。
「今日はせっかくのオフサイトなので、遠慮なく本音で話してください」
すると、みんな少し真面目な顔になります。
そして、誰かがこう言います。
「そうですね、全体としては良い方向に進んでいると思います」
もうこの時点で、本音ではありません。
かなり丁寧に包まれた、社会人として安全な言葉です。
そのあとも続きます。
「課題はありますが、前向きに改善していきたいです」
「部署間連携をもっと強化したいです」
「コミュニケーションを増やす必要があると思います」
「認識をそろえることが大事だと思います」
全部正しいです。
でも、どこかで聞いたことのある言葉です。
会議室の空気を壊さない、きれいな言葉です。
本当は、もっと別のことを思っているかもしれません。
「正直、現場はもう疲れています」
「その方針、実はあまり腹落ちしていません」
「部署間連携というより、単純に相談しづらいです」
「上司が忙しそうで、話しかけるタイミングがありません」
「会議は増えたけど、何も決まっていない気がします」
でも、そこまでは言わない。
なぜなら、怖いからです。
本音は、出したあとに戻せません。
本音が出ないのは、参加者の意識が低いからではない
オフサイトミーティングで本音が出ないと、主催側は少しがっかりします。
「もっと積極的に話してほしかった」
「せっかく場を用意したのに、発言が少なかった」
「結局、いつもの会議と変わらなかった」
そう感じることもあると思います。
でも、ここで参加者のせいにするのは早いです。
本音が出ないのは、参加者の意識が低いからとは限りません。
多くの場合、本音を出せる状態になっていないだけです。
人は、いきなり深い話はできません。
会議室に入って、資料を配られて、司会者が前に立って、いきなり
「では、組織の課題について本音で話しましょう」
と言われても、なかなか難しい。
それは、サウナに入って3秒で「整ってください」と言われるようなものです。
無理です。
まず温まる時間が必要です。
本音も同じです。
いきなり出すものではなく、少しずつ出てくるものです。
本音が出る前には、だいたい「どうでもいい話」がある
おもしろいことに、本音が出る場には、たいてい前段があります。
それは、どうでもいい話です。
「最近忙しいですね」
「この部屋、思ったより落ち着きますね」
「駅から意外と近かったですね」
「昨日あまり寝てなくて」
「このコーヒーおいしいですね」
こういう会話です。
一見、何の意味もなさそうです。
でも、このどうでもいい話が大事です。
人は、いきなり本題に入るより、少し安全な会話をしてからの方が話しやすくなります。
相手の表情を見る。
声のトーンを感じる。
場の空気を確かめる。
この人にはどこまで話してよさそうか、無意識に見ている。
つまり、どうでもいい話は、心の準備運動です。
スポーツで準備運動なしに全力疾走するとケガをします。
会話も同じです。
準備運動なしに本音へ飛び込むと、だいたい場が固まります。
良いオフサイトは、最初から深い話をしない
良いオフサイトミーティングは、いきなり核心に入りません。
最初に少し空気をやわらかくします。
たとえば、
- 最近、仕事で少しうれしかったこと
- 今、個人的に気になっていること
- 今年一番忙しかった時期の話
- 最近、他部署に感謝したこと
- 今のチームで助かっていること
- 実は少し困っていること
いきなり「会社の課題は何ですか」と聞くより、少し手前から入る。
これだけで、話しやすさは変わります。
本音は、深い質問をすれば出るわけではありません。
浅い安心感を積み重ねた先に、少しずつ出てくるものです。
だから、オフサイトでは最初の30分を軽く見ない方がいいです。
最初の30分で場が固まると、その後ずっと固いままです。
逆に、最初の30分で空気がやわらぐと、その後の議論はかなり変わります。
「沈黙」が怖い会社は、本音までたどり着きにくい
オフサイトミーティングで意外と大事なのが、沈黙です。
沈黙があると、司会者は焦ります。
「何か意見ありますか?」
「どなたかどうですか?」
「では、次にいきましょうか」
こうして、沈黙をすぐ埋めようとします。
でも、実は本音が出る前には、少し沈黙が必要なことがあります。
人は、大事なことを話す前に考えます。
言っていいか迷う。
どう言えば伝わるか考える。
場の空気を見る。
相手の反応を想像する。
その時間が、沈黙です。
沈黙は失敗ではありません。
むしろ、少し深い話に入ろうとしているサインかもしれません。
もちろん、ずっと沈黙していたら進みません。
でも、沈黙が数秒あるだけで慌てて次に行ってしまうと、本音が出る前に扉を閉めてしまうことがあります。
オフサイトで本音を出したいなら、沈黙に少し耐える必要があります。
沈黙を待てる場は、深い話が出やすいです。
本音は、正面から聞くより「横から出る」
本音を引き出そうとして、正面から強く聞く人がいます。
「本当はどう思っているんですか?」
「遠慮なく言ってください」
「不満があるなら出してください」
気持ちは分かります。
でも、これはけっこう圧があります。
本音は、正面からライトを当てられると隠れます。
むしろ、横から出ることが多いです。
食事中。
休憩中。
移動中。
夜のラウンジ。
翌朝のコーヒー。
正式な議論ではなく、少し肩の力が抜けた時間。
そこで、ぽろっと出ます。
「実は昨日の話、少し引っかかっていて」
「昼間は言えなかったんですが」
「うちの部署では、こう感じている人が多いです」
「本当はそこ、前から気になっていました」
こういう言葉は、狙って出すのが難しい。
でも、出やすい環境をつくることはできます。
そのためには、会議だけでなく、会議の外側まで設計することが大事です。
予定を詰め込むほど、本音は逃げる
真面目な会社ほど、オフサイトミーティングの予定を詰め込みます。
午前は現状共有。
午後は課題整理。
夕方はグループワーク。
夜は懇親。
翌朝は発表。
最後にアクションプラン。
とても立派です。
でも、詰め込みすぎると本音は出にくくなります。
なぜなら、参加者は「次の予定」を気にするからです。
あと何分で終わるのか。
次の発表までにまとめないといけない。
食事の時間が迫っている。
夜もプログラムがある。
明日の発表資料を作らないといけない。
この状態では、深く考えられません。
本音は、スケジュールの隙間に出ます。
ぎゅうぎゅうに詰められた予定の中では、出る場所がありません。
オフサイトで成果を出したいなら、予定を増やすより、余白を残すことです。
余白は、何もしない時間ではありません。
本音が出るためのスペースです。
余白があると、人は勝手に話し始める
これは不思議ですが、場に余白があると、人は勝手に話し始めます。
食事のあと、少し時間がある。
ラウンジで座れる場所がある。
周囲を気にしなくていい。
帰り時間に追われていない。
同じ場所に、自然に集まれる。
こういう条件があると、会話が生まれます。
しかも、こういう会話は強制されていないので、意外と深くなります。
「さっきの話、どう思いました?」
「あれ、実際どうなんですか?」
「うちの部署でも似たことあります」
「次、少し一緒に動きませんか」
こうした会話は、会議で決めたわけではありません。
でも、職場に戻ってから効いてきます。
オフサイトミーティングの価値は、議事録に残ることだけではありません。
議事録に残らない会話が、あとから効くことがあります。
場所が変わると、話し方も変わる
オフサイトミーティングで場所を変える意味は、景色を楽しむためだけではありません。
場所が変わると、人の話し方も少し変わります。
いつもの会議室では、いつもの役割を背負います。
上司として。
部下として。
管理職として。
営業として。
人事として。
経営側として。
でも、場所を離れると、その役割が少しだけゆるみます。
完全に消えるわけではありません。
でも、少しだけ話しやすくなる。
「いつもの会議室では言いにくいけど、ここなら話せるかもしれない」
この感覚が大事です。
ただし、場所を変えれば何でもいいわけではありません。
人が多すぎる場所。
他のお客様が気になる場所。
移動が多い場所。
落ち着いて座れる場所がない会場。
夜に自然に集まれる場所がない会場。
こういう場所では、せっかくオフサイトにしても話が深まりにくいです。
場所を変えるなら、ただ遠くに行くのではなく、話しやすくなる場所を選ぶことが大切です。
周りを気にしている時点で、本音は半分引っ込む
オフサイトミーティングでは、話す内容によっては外に聞かれたくないこともあります。
組織の課題。
人事の話。
部署間の不満。
経営方針への違和感。
現場の本音。
管理職の悩み。
こういう話をするとき、周囲の気配は思っている以上に影響します。
隣の会議室に別の団体がいる。
ロビーに一般のお客様がいる。
食事会場で他のお客様が近い。
廊下を人が通る。
声の大きさを気にする。
これだけで、言葉は少し浅くなります。
「ここまで話して大丈夫かな」
「聞こえていないかな」
「この話は後にした方がいいかな」
そう思った瞬間、本音は半分引っ込みます。
深い話をしたいなら、周囲を気にしなくていい環境はかなり大切です。
貸切ホテルという選択肢
オフサイトミーティングや企業合宿では、会場選びがかなり大切です。
一般的なホテルには安心感があります。
設備が整っている。
食事や宿泊も手配しやすい。
清潔感がある。
法人利用にも慣れている。
一方で、他のお客様がいるため、話す内容や声の大きさに気を使う場面もあります。
貸別荘には自由さがあります。
自分たちだけの時間をつくりやすい。
周囲を気にしにくい。
夜の時間も使いやすい。
ただし、企業利用では設備や管理面に不安が残ることもあります。
そこで選択肢になるのが、貸切ホテルです。
貸別荘より安心。
ホテルより自由に。
貸切ホテルであれば、会議、食事、宿泊、休憩、夜の対話までを、ひとつの流れとして設計しやすくなります。
本音を出したいなら、会議の中身だけでなく、場の安心感まで考えた方がいい。
オフサイトミーティングを、ただの会議で終わらせないために。
貸切ホテルという選択肢は、十分に検討する価値があります。
まとめ
オフサイトミーティングで本音が出ないのは、参加者の意識が低いからとは限りません。
本音が出る状態になっていないだけかもしれません。
本音は、号令では出ません。
いきなり深い質問をしても出ません。
予定を詰め込めば出るものでもありません。
本音が出るには、少し準備が必要です。
どうでもいい話ができること。
沈黙を待てること。
会議後の時間があること。
周囲を気にしなくていいこと。
自然に集まれる場所があること。
予定に余白があること。
オフサイトミーティングで大切なのは、話し合いを増やすことではありません。
本当に話したかったことが、自然に出てくる場をつくることです。
そのためには、プログラムだけでなく、場所選びも大切です。
貸別荘より安心。
ホテルより自由に。
本音で話せるオフサイトをつくりたいなら、貸切ホテルという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
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